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続きが気になるお( ^ω^)
スネオの夏 http://ex14.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1137913187/ スネオの夏 スネオの夏 その2 スネオの夏 その3 1 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 15:59:47.74 ID:pUdjCgkV0 蝉の泣き声が春の終わりを雄弁に語り、夏の終わりを告げる。 全身にまとわりつくような暑さに、体中から汗が吹き出す。 不思議と、不快感はない。 今年もまた、夏がやってきた。 あと何年生きるかは分からないけど、きっと、生涯忘れ得ぬ夏が。 4 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:00:19.93 ID:pUdjCgkV0 話は少し前に溯る。 6月、梅雨前線はしぶとく列島に停滞し、連日の雨を僕らに運んだ。 グラウンドは雨で使い物にならず、だからジャイアンは昼休みの度に地団太を踏んだ。 そう、丁度このころからである。 スネオが学校に来なくなったのは。 6 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:00:53.78 ID:pUdjCgkV0 初めて彼が休んだ日は、取り立てて何の感慨も抱かなかった。 一年は長い。その中で一日くらい学校を休む日もあるだろ…そのくらいの感覚だった。 しかし、彼の休む日は2日、3日…と伸びていく。体調不良にしては、ばかに長引いている。 そして、スネオが学校に顔を見せなくなって、既に一週間が経過した頃。 僕はこの時点で、言い様もない不安を感じた。 8日目。僕は押し寄せる不安に耐え兼ねて先生の所へ行った。スネオの欠席、その真実を知るために。 10 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:01:45.30 ID:pUdjCgkV0 のび「先生…」 先生「ん?おお野日か。どうした?勉強の質問か?」 のび「いや、そんなことじゃなくて…」 先生「そんなこと、とは随分だな。…まあいい。で、何だ?」 のび「あの、スネオのことなんですけど」 先生「……」 のび「スネオは、どうして休んでるんですか?」 先生「……」 のび「風邪にしてはばかに長いし」 先生 「……」 のび「先生、スネオは一体……」 先生「……骨川は、風邪だよ。長引いてるんだ」 11 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:02:40.88 ID:pUdjCgkV0 のび「でも先生…!」 先生「…おっと、職員会議の時間だ。さあ、野日も早く帰りなさい」 そう言って先生は、椅子からそそくさと腰を上げる。 のび「先生!本当にスネオは」 先生「早く帰れ、と言っておるんだ」 先生はピシャリと言った。 その口調には反論を許さないものがあり、僕は言葉の接ぎ穂を失い、しばしその場を動けずにいた 13 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:03:19.90 ID:pUdjCgkV0 納得は出来なかった。 確かにジャイアンとまでは行かないが、スネオも平均以上に活発で元気な男子だ。 風邪で一週間も寝込んでいる姿なんて、想像だに出来ない。 そして決意した。 (会って、直接確かめよう) 僕は、スネオの家へ足早に向かった。 「のび太…」 不意に後ろから声を掛けられ、僕は少しく驚いた。 振り向いて声の主を確かめる。 大きな体のシルエット、野太い声、それは確かめるまでもなく、ジャイアンだった。 12 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:03:03.78 ID:LxXgRbSb0 元ネタ何? 14 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:03:40.38 ID:3AtUHCn10 >>12 俺の予想ではダライラマ 15 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:04:14.09 ID:pUdjCgkV0 ジャイアン「先生んとこ行ってきたんだろ?スネオ、なんだって?」 矢継ぎ早に質問するジャイアン。彼も心配なのだ。スネオのことが――スネオの現在が。 のび「風邪、だって」 僕は聞いたままを告げる。全く信じていない、おそらく嘘であるところのその言葉を。 ジャイアン「……そんなわけないだろ!あいつが風邪で一週間も……おまえ、それですごすご帰ってきたのかよ!」 ジャイアンはすごい剣幕で僕に詰め寄った。両肩を掴まれている。強い力だ。そして、悲しい力だ。 のび「……僕だって!僕だってそんなの…信じるわけないだろ……」 ジャイアン「……わりぃ」 寒々とした空気が二人を包む。 ここで僕らがいさかっても、何の解決にもならないことくらいは分かっているのだ。 18 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:04:49.30 ID:pUdjCgkV0 のび「行こうよ……」 ジャイアン「え?」 のび「スネオの、家にさ」 僕は彼の目をじっと見つめて、そう告げた。 ジャイアンは、そうだな、と息だけの声で、でもハッキリと、答えた。 22 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:05:50.12 ID:pUdjCgkV0 西の空が赤く染まっている。 カラスが家路に着いている。 僕らは並んで、無言で、友の――スネオの家に、向かって、いる。 足取りが、重い。 真実を確かめたい、でも――知らないままの方が、いい? 矛盾する二つの気持ちが胸でぶつかる。 風邪だ、と思い込むのは楽だ。本当に風邪であれば、それが何よりだ。 しかし、それ以外の何か、分からないけど『何か』がスネオの身に降りかかっているのだとしたら……。 僕は何をして、何をしなければいいのだろうか。 どんな表情で、どんな言葉をかければいいのだろうか。 分からない。 それはジャイアンも、きっと。 26 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:06:40.13 ID:pUdjCgkV0 スネオの家に着いた。豪華な彼の家は、近隣にその存在を誇示する様に建っている。 うらやましくない、と言えば嘘になる。 しかし僕は、この家を見ると、決まって悲しくなる。 思うのだ。この巨きな容れ物の中に、スネオの居場所はあるのかな? ――なぜかそんなことを、漠然と思うのだ。 28 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:07:09.97 ID:pUdjCgkV0 僕はチャイムを鳴らした。 家の中に人の気配はなかった。 だから、返事も返ってこなかった。 それでも二度、三度とチャイムを鳴らす。返事は、ない。 29 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:07:45.80 ID:3AtUHCn10 文のレベルが神すぎるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 30 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:07:54.34 ID:pUdjCgkV0 ジャイアン「…どけ!」 ジャイアンは僕を乱暴に押し退けると、力の限りドアを叩いた。 ジャイアン「おいスネオ!!いるんだろ!!学校休んでどうしたんだよ!!おいったら!!おい!!」 ジャイアンも、スネオがここにいないことくらい分かっている。 でも、それでも。体を動かさずにはいられないのだ。声を張り上げずにはいられないのだ。 ジャイアン「スネオ!!スネオ!!出て来いよ!!野球しようぜ!!ピッチャーやってもいいからよ!!なあ……野球、しようぜ……」 僕は、懸命に叫ぶ彼を見るともなしに見ながら、ふと、視界の端に何かを捕らえた。 31 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:07:59.74 ID:zy7N+18w0 、___________ 、> .| >________ .|  ̄ .|./_ _\ | | ____________ | / ヽ/ ヽ | | / . | | ・ | ・ | V⌒i | ジャイアンのくせに _ |.\ 人__ノ 6 | < \ ̄ ○ / | なまいきだぞ . \ 厂 \ / _____/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄, -/へ/\/`- 、 /./ ./o i. \ 32 :VIPがお送りします :2006/01/22(日) 16:08:25.04 ID:VwQCNGb60 >>31 ぶちこわしwwww 35 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:08:50.90 ID:pUdjCgkV0 のび「ジャイアン……」 ジャイアン「なんだよ…!」 振り返ったジャイアン。泣きそうな顔をしている。そして僕もたぶん。 のび「あれ…なんだろ…」 言って僕は、玄関の脇の方にあった張り紙を指差した。 『売家』 僕らは、声もなく嗚咽した。 42 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 16:11:04.45 ID:pUdjCgkV0 バイトなので落ちます。 スレが残っていたら続きを書きます。 (※中略) 195 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:15:00.00 ID:HYFMjVYV0 捕手トンクス テラウレシス バイト終わったので、今から帰って続きを書きます 携帯から書くので遅筆はご容赦下さい 208 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:48:31.13 ID:pUdjCgkV0 野良猫が気怠そうに僕の前を過ぎ去った。言い様のない脱力感に包まれる。 ジャイアンは、とうに家に帰って行った。 様々な疑問が、浮かんでは消え、消えては浮かび、僕は思考の迷路に迷い込んだ。 スネオは一体どこに行ったのだろう。 何故家を売らなければならなかったのだろう。 そして何故――先生は嘘を言ったのだろう。 分からない。何も。 210 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:49:10.28 ID:pUdjCgkV0 部屋に着いた僕はランドセルを放り投げると、机に肘を付いて虚空へと視線をやる。 窓の向こう、遠く、遥か何光年もの彼方に、一番星が仄かに光っているのを見つけた。 でも、僕の見つけたいものは―― 211 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:49:47.39 ID:pUdjCgkV0 眩しい。 南中した太陽が、容赦なく照り付ける。 ここは――僕は、砂漠を走っていた。 ひどく暑く、体力は既に限界に近かった。 それでも僕は走り続ける。 なぜならそこに――視線の先にはスネオが、いるから。 212 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:50:32.54 ID:pUdjCgkV0 「スネオ!」 叫んで僕は懸命に走る。 しかし、砂に足を取られて歩みは遅々として進まない。 不思議なことにスネオは一人、自然界から埒外の存在であるかのように砂漠をぐんぐんと進む。 まるでバギーに乗っているかのように、恐ろしく速い。 僕らの距離は、絶望的に広がって行く。 ダメだ、待ってくれスネオ。 213 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:51:07.15 ID:pUdjCgkV0 ふと、遥か遠くでスネオが立ち止まった。 地平線の彼方、決して視認できる距離ではない場所にいたスネオの顔はしかし、 僕の瞳にハッキリと写った。 ぼろぼろと泣きながら笑う、彼の顔が。 213 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:51:07.15 ID:pUdjCgkV0 ふと、遥か遠くでスネオが立ち止まった。 地平線の彼方、決して視認できる距離ではない場所にいたスネオの顔はしかし、 僕の瞳にハッキリと写った。 ぼろぼろと泣きながら笑う、彼の顔が。 214 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:51:42.94 ID:pUdjCgkV0 「のび太君、起きなよ。ご飯だよ」 馴染んだ声が、優しく鼓膜を揺する。 いつの間にか寝ていたらしい。 喉がカラカラに渇いている。 僕は無言で立ち上がると、キッチンに行った。 蛇口に直接口を付けてごくごくと喉を鳴らして水を飲み、ようやく人心地ついた。 後ろからパタパタとドラエもんがやって来る。 215 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:52:31.84 ID:pUdjCgkV0 ドラエもんは心配そうな顔つきで僕の目を覗きこんで、そう尋ねた。 ガラスに映った自分の顔を見る。泣きはらした目、眼球は血走っていた。 ひどい顔をしている。 ドラエもんの方に向き直り、彼ならあるいは、と考えた。 彼ならば、スネオの行方を追えるかもしれない。 そう考え、僕は彼にありのままを話す事にした。 のび「スネオがさ…いなくなっちゃったんだ」 ドラえもん「スネオくんが?!」 216 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:53:37.28 ID:pUdjCgkV0 言下に大きな声で聞き返された。 狼狽している。 いつもは沈着な彼の心が、大きく波打ったように見えた。 ドラえもん「いなくなったって、一体どういうことなのさ」 のび「分からないんだ。10日前くらいから学校に来なくなって… 先生は風邪だって言うんだけど…信じられなくて… それでジャイアンと一緒にスネオの家に行ったんだ」 ドラえもんは、僕の言葉を一つも漏らすまいと無言で聞いている。 僕は次の言葉を探し、先刻の光景――売家の張り紙を思い出した。 視界が霞む。 嗚咽がもれそうになる。 言葉が、続かない。事実を、認めたくない。 217 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:54:25.08 ID:pUdjCgkV0 「のび太くん……」 ドラエもんは、僕の手をそっと包んだ。 機械である彼の手はいつも冷たい。 でもぬくもりは、確かにあった。確かに、そこに。 「辛いことは半分にしよう。楽しいことは倍にしよう。 僕らって、ずっとそうしてきたんじゃないか」 そう言ってドラエもんはニッコリとほほ笑んだ。 だから僕は、奥歯をかんで、話を続けた。 「スネオの家は、売られてたんだ」 220 :1 ◆vC.kHTi4RE :2006/01/22(日) 22:56:55.17 ID:Wa5I5CN90 スマソ、書き溜めはここまで。 また携帯で書いて程よく投下します。 30分後くらいにまた ノシ その2へ続く スポンサーサイト
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